投稿日:2017/06/21
脳血管障害(脳卒中)とは
脳血管障害とは、脳の血管に障害が生じる病気の総称です。脳卒中ともいいますが、これは一般用語で、脳が卒然(突然)と、中る(あたる)ということで、昔から、脳卒中と言われていたようです。昔は、突然倒れて亡くなられる方も多かったのでしょう。医学用語では、脳血管障害、もしくは、脳血管疾患などといいます。
脳の血管が詰まれば「脳梗塞」、脳の血管が切れて出血すれば「脳出血」、くも膜という薄い膜の下の血管が切れた場合を「くも膜下出血」いいます。
脳血管障害は、日本人の死因順位第4位、要介護の原因の第1位です(平成25年、厚生労働省)。
かつて(1950年代~1970年代くらいまで)は、日本人の死因順位第1位が、脳血管障害でした。その頃は、脳出血になる人が多かったようです。現在は、死因順位では、がん、心臓病、肺炎についで第4位となり、さらに、脳出血よりも、脳梗塞になる人の方が多いようです。長嶋茂雄さん、西城秀樹さん、イビチャ・オシムさんなど、有名人の方も脳梗塞になられていますので、ニュースで衝撃を受けた方も多いでしょう。
今でも脳血管障害は、死亡することもある恐ろしい病気ですが、命が助かったとしても、その後、運動麻痺(片麻痺)や感覚障害、言語障害など様々な症状が出現します。
運動麻痺は、片麻痺といって、左右のどちらか片方の手足が麻痺することが多いです。右片麻痺、もしくは、左片麻痺です。ちなみに、右片麻痺は、左脳の障害、左片麻痺は右脳の障害です。脳から手足に行く途中で神経が交差していますので、右手足を動かしているのが左脳、左手足を動かしているのが右脳なのです。
出血や梗塞の場所や程度によっては、左右両方の手足の麻痺(四肢麻痺)になることもあります。
運動麻痺は、発症後、6ヶ月くらいは回復していきますが、その後は、ほとんど回復されないとされています。6ヶ月を過ぎて、麻痺がある場合、その麻痺は、後遺症となって残ってしまう可能性が極めて高いのです。
病気になった直後を「急性期」、命が助かって、その後、症状が回復していく時期を「回復期」、やがて運動麻痺が回復しなくなり、身体機能を維持することが目標になる時期を「維持期」といいます。
片麻痺が後遺症として残った場合、立位や歩行のバランスが難しくなりますが、杖を使って歩ける状態の方も多くおられます。
杖を使う際の注意点
維持期において、後遺症の程度は、人によって様々です。
何も持たずに歩けない場合は、T字杖、四点杖、ロフストランド杖、歩行器などの使用が有効と考えられますが、まずは、ご自身の状態に合った適切な歩行補助具の選定をしてもらうことが重要です。
歩行などの基本動作をみる専門家は理学療法士ですので、病院や介護施設、または訪問リハビリ等で、理学療法士にみてもらい、最適な歩行補助具を選定してもらうとよいでしょう。
片麻痺の方が、T字杖を使って歩く場合、麻痺側の足には、あまり体重をかけられないため、そのぶん、杖に体重をかけることになります。杖への荷重量がどうしても多くなりますので、作りのしっかりとした杖を選んだ方がよいでしょう。SGマークがついた杖であれば、一般財団法人製品安全協会の定めた基準をクリアしているため、安全性が高く、安心して使えるでしょう。
それから、杖は消耗品です。使い続けると傷んできます。
特に、脳血管障害後の片麻痺の方は、杖にかなり体重をかけているのと、杖を使う時間が長いので、毎日杖を使うような場合、かなり傷んできます。杖先ゴムがすり減って、ゴムの溝がなくなっているような状態だと、杖先が滑りやすくなります。杖先ゴムを新しいものと交換してください。また杖自体も、およそ3年を目安に、新しい杖に買い換えることをおすすめします。
最近は、杖も、様々な色やデザインのものが販売されていますので、気に入った新しい杖を購入することにより、気分も新たに歩けるようになるのではないでしょうか。
寝たきりにならないために
脳血管障害は、「寝たきりの原因」ともいわれますが、脳血管障害になった人の多くは、病気になってすぐに寝たきりになるわけではありません。後遺症が残ったとしても、杖をついて歩けるくらいまで回復して退院する人も多いのです。
しかし、やはり身体が動きにくいので、あまり動かなくなり、外にも出なくなり、不活発な生活によって、筋力・体力が低下して、やがて寝たきりになっていく・・・というパターンが多いようです。
「急性期」は、命を救うための治療が必要ですし、「回復期」は、身体機能を回復されるためのリハビリが必要です。では、「維持期」になったら、維持が目標になるので何もしなくてもいいのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。何もせずに自然に任せておくと、徐々に身体機能が低下していく可能性が高いのです。
以前、長嶋茂雄さんのリハビリの様子がテレビで放送されたことがありました。もはや、リハビリというよりも、スポーツのトレーニングのようでした。
長嶋さんは、後遺症の影響があるようですが、普段から積極的に身体を動かし、身体機能を維持・向上させているようです。
プロ野球の春のキャンプなどにも毎年、顔を出しておられますよね。外にも、積極的に出ておられます。
このように、「維持期」は、生活の中で、意識的に、積極的に身体を動かすことによって、ようやく身体機能が維持できるのです。そして、活発な生活を送るために、外にも出かけることも重要です。
お気に入りの杖を持って、行きたいところに出かけられるような生活を目指していきましょう。
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