正しい杖の選び方How to select the right stick

ご購入前に必ずお読みください

体に合った杖をお選びください

棒状杖は、杖無しで自立歩行できる人が、より安定して歩行できるよう補助的に使用するものです。
次のような場合の使用には適しません(体重をかけすぎたりすると、かえって肩や手を痛めることもあるからです)。
また、購入時はそうではなくても、次のような状態になった場合の使用も停止すべきです。

  • 杖無しでは歩行できない者の使用(手すりに伝わらなければ歩行できない者や、介助者に手伝ってもらわなければ歩行できない者の使用が含まれます。)
  • リハビリ中などのように、体重の一部を支えないと歩行できない者。但し、医師などの指導のもとでの使用は含みません。

体に合った長さに調整してお使いください。

体に合った長さとは?

杖は、長すぎたり短すぎると姿勢が不自然になり、肩こりや腰痛の原因になります。
目安として、標準的な長さの決め方をご案内いたしますが、お客様の状態によって変わってきますので、ご注意が必要です。

ポイント1
手元の位置は、腕をまっすぐおろしたときの手首のところぐらいです。一歩前に杖をついた時に、軽くひじが曲がる(150度ぐらい)が良いでしょう。
ポイント2
必ず靴をはいた状態で調節しましょう。但し、室内専用杖の場合は除きます。
その他ポイント
腰の曲がった人の場合は、曲がった姿勢で長さを決めましょう。
一般的な長さの目安
身長÷2+3cm
例)身長170cm=88cm
例)身長160cm=83cm
例)身長150cm=78cm

杖の種類

一般的な杖の種類と特徴を知りましょう

杖には、様々な種類があります。初めて杖を使われる場合は、「どの杖を選んだらいいのかな?」と迷われることもあるでしょう。ここでは、一般的に使われている杖の種類を紹介します。

お体の状態で杖を選ぶには

  • T字型杖・オフセット型杖・ステッキ

    腕に力がある人
    T型杖・F型杖・オフセット型杖・ステッキ
    支柱が1本(脚が1本)の杖は、棒状杖などといわれています。その中で、握り手がTの形をしているものをT字杖といいます。なぜ、Tの形をしているかというと、握りやすく、体重をかけやすいからです。元々、ステッキタイプの杖は、握り手がJの形をしていて、J字杖などと呼ばれていましたが、それを、握りやすく改良したのが、T字杖です。現在では、さらに握りやすいように、握り手が逆L字型になったものが多く、逆L字杖、L字杖、F型などと呼ばれることもありますが、基本的には、これらも含めてT字杖と呼ぶことが多いです。
    T字杖の中には、一本杖(伸縮機能のないもの)、伸縮式、折りたたみ式などがあります。
  • ロフストランド杖

    握力や腕の力が弱い人
    ロフストランドクラッチ
    前腕固定型杖といい、支柱が握り手の上まで伸びて、前腕カフがついているタイプです。握り手を握り、さらに、前腕カフに腕を通して固定します。握り手と前腕カフの2点で支えるので、安定性が高いです。また、握力が十分なくても使えます。麻痺のある人や骨折後など、杖にかなり体重をかけたい場合に適しています。
  • 三脚杖・四脚杖

    歩行がかなり不安定な人
    三脚杖・四脚杖
    握り手は1つですが、支柱の先端(脚)が3本・4本に分かれています。支持面が広く、安定性が高いです。
    片麻痺の方などで、ゆっくりと確実に杖をつきながら歩く方に適しています。ただし、階段や舗装されていない道路など、凹凸のあるところでは、使いにくいです。
    支持面が広いタイプ(ラージベース型)は、安定性が高いです。支持面が狭いタイプ(スモールベース型)は、安定性は劣りますが、T字杖に近い感覚で使いやすいです。

T字型杖の種類と特徴

  • 一本杖(伸縮なし)

    しっかりした強度
    一本杖
    支柱が、木もしくは金属で一本の棒になっているものです。支柱の強度が高く、丈夫です。ただし、長さを調節するには、支柱をカットする必要があります。販売店でカットしてくれるところもあります。ご自身でカットするには、ノコギリやパイプカッターが必要です。そして、カットした後は、その長さから伸ばすことができません。
  • 伸縮杖

    長さを調節
    伸縮杖
    支柱の長さが調節できるようになっている杖です。2本の支柱が重なっていて、ボタン等で長さを調節します。強度は一本杖に劣りますが、気軽に長さを調節できるのがメリットです。ボタンの穴の位置を変えるだけで、長さを調節可能です。例えば、杖の長さを一度調節しても、使う中で「もっと長い方がいいな」とか「もっと短い方がいいな」と感じることもあるでしょうし、長期間杖を使い続け年齢を重ねると、姿勢が変わってくることも考えられます。そんなときに、調節式なら、簡単に長さを変えることができます。
  • 折りたたみ式杖(伸縮機能付き)

    携帯に便利
    折りたたみ式杖(伸縮機能付き)
    支柱が折りたたみできるようになっている杖です。支柱の中に、ゴム等が通してあって、支柱を3~4つに折りたたむことができるようになっています。折りたたんでポーチやカバンに入れることができるので、携帯に便利です。長い距離を歩くのには杖を使い、短い距離や、建物の中では、杖を使わずに歩くような方に適しています。折りたたみできない杖に比べて、強度は劣りますが、歩行するのに十分な強度は確保されています。

正しい杖の選び方

基本的には、病院や介護施設等で理学療法士などの専門家に相談してください。
特に病気やケガ等がなく病院等に行く機会のない人で、下記に当てはまる人は、まずはT字型杖を使ってみましょう。

  • 杖を使わなくてもなんとかあるくことができるが、歩行が不安定になってきた
  • 歩く際に、バランスを崩さないかと不安になる

杖は、身体の状態に合わせて長さを調節する必要がありますので、長さ調節の簡単な「伸縮式」をオススメします。

さらに、折りたたみができるものとできないものがありますが、折りたたみができるものは、便利ですが強度がやや劣ります。

常に杖を使いたいなど、日常で杖を使う頻度が高ければ、「伸縮式(折りたたみ式でないもの)」を、よく外出するが、杖はたまにつかう程度の人(杖を使い頻度が低い人)なら「折りたたみ式」を選びましょう。

四点杖や、ロフストランド杖は、理学療法士の指導を受けて使ってください。

杖の選び方フローチャート

何も持たずに、立つ・歩く できない 病院や介護施設等で理学療法士の指導を受けてください
できる 常に杖を使いたい(仕様頻度が高い) 伸縮式
たまに杖を使いたい(仕様頻度が低い) 折りたたみ式

hはじめてT字型杖を選ぶ時のポイント5!

  • POINT 1長さ(調節可能か)

    調節できない杖もあります

    長さは上記の通り、最も重要なポイントと言っても過言ではありません。ですので、T字型杖を選ぶ際に、最低限チェックしておくべきポイントとしては、「長さの調節が可能か」という点です。
    というのは、例えば脊柱の圧迫骨折をしてしまい、背中が以前より丸くなってしまうことがあります。そういった場合、長さ調節ができないタイプだと買い替える必要がある場合があります。
    また、普段履いている靴を変えるなどの、些細なことでも歩行姿勢は少し変わり、 自分の体にあった杖の長さが変わります。そういった時に微調整ができるタイプの方が何かと便利です。調整ができないタイプの杖は、購入時に切断して長さを調節しますが、一度切ってしまうと杖が短くなり、元に戻せません。特にはじめて杖を購入される方はご自身の最適な杖の長さがわかりませんので、ご購入後でも調節できるタイプが、おすすめです。

  • POINT 2重さと重心

    適度な重さで安定します

    重さは200~500gのものを選ぶのがオススメです。
    重すぎると、長時間使用する場合、疲れやすくなります。逆に軽すぎると安定性に欠け、非常に使いにくく感じます。適度な重さの杖を選びましょう。
    また重心は握り手から3分の1程度の距離にあることも重要なポイントです。重心が握り手に近い方が、持つ時に軽く感じて扱いやすいです。

  • POINT 3グリップ

    グリップ(握り手)に滑り止め

    グリップ(握り手)に滑り止めの工夫があること。
    このことも良い杖の条件の1つです。
    滑り止めの工夫が無い杖ですと、特に夏場に杖を使用すると手に汗をかき、その汗が原因で手がすべり、転倒という事故も発生します。また滑り止めがあることによって、より安定して杖を握ることができます。

  • POINT 4耐久性

    耐久性は金属製のものを選べばOK

    強度(耐久性)に関しては、安価なものですと、支えの棒の部分がプラスチックなどで形成されており、両手で端を持ってグッと曲げると簡単にたわんでしまう杖も販売されています。
    杖は転倒しそうになった時に、全体重を支える重要な要になるので、簡単にたわんでしまうプラスチック製のものではなく、金属製のしっかりとしたものを選ぶようにして下さい。
    金属製のものでできるだけ軽いものを選ばれると問題ないと思います。

  • POINT 5携帯性

    旅行などに便利な折りたたみタイプ

    普段はコンパクトに折りたたまれていて、出先や、疲れた時だけ杖を使いたい方は、携帯性は重要なポイントになります。カバンなどに携帯し、必要な時だけ杖として使えます。
    ※折りたたみタイプは、一般的に折りたためないタイプより若干耐久性に劣る場合があります。毎日杖を使用する方(使用頻度の高い方)は、折りたたむ必要もあまりないので、折りたたみ出来ないタイプを選ばれた方が良いでしょう。

  • POINT 6SGマークがついている

    品質と安全が確認できます

    SGマーク市販されている杖は、基本的に強度や安全性が確保されていると思われますが、SGマークを取得しているものは、強度等の試験行い、製品安全協会の定める基準に適合した製品であり「安心・安全な製品」の目安になります。
    SGマークの付いた製品は、人身事故に対する対人賠償責任保険が付いています。杖を購入するなら多少高くなってもSGマークつきのものを購入することをオススメします。

  • POINT 7見た目

    気に入ったものは長く使えます

    上記1、2、3、4、5、6と当てはまった杖の中から、後はあなたの好みの色、デザインのものを選びましょう!是非、長く使えることのできるお気に入りの1本を見つけてくださいね。